2006/02/26付愛媛新聞
[社説]県警捜査費報告
疑惑の核心から目をそらすな
県警に自浄作用を求めるのはやはり無理だというしかない。
捜査費不正支出問題で、一九九八―二〇〇四年度の全捜査費の執行状況を内部調査していた県警が結果報告をまとめた。
県監査委員が〇一年度を対象にした特別監査で疑義を指摘したうち、一部については県警自身も不適正な支出と認めた。これを受け、範囲を前後の年度に広げたのが今回の調査だ。
その結果、〇一年度分などを含めた不適正支出は計千八百五十二件、四百三十五万円あまりに膨らみ、公金である捜査費のずさんな処理実態があらためて明らかになった。反省のうえ改善策を徹底するのは当然だ。
が、その中身は県費と国費の混同や規定時間外の予算執行など、現場捜査員の細かなミスを並べ立てたにすぎない。県警に向けられているのは、長年の組織的裏金づくりや私的流用という重大な疑惑だが、今回も核心部分から目をそらすものだ。
領収書をパソコンで偽造するといった新たな手口も発覚した。有印私文書偽造などの疑いが当然出てこようが、県警は立件を見送るという。内部調査がいかに厳正さを欠くか、これひとつとっても明らかだろう。
にもかかわらず、飯利雄彦警務部長が「自信をもって調査した」というのには耳を疑う。
県警は捜査協力者への裏づけ確認をしていない。しかも捜査員を聴取するのは上司らだ。内部告発者への見せしめめいた処遇を見せつけられた捜査員に、あえて真実を語らせないようにしているとしか思えない。それでも県民に胸を張れるというなら、捜査のプロとしてこれほどの自己矛盾もなかろう。
関係者の処分や捜査費の返還にしても、当然のこととはいえ、「最終報告」の名に値しない調査結果に基づくのでは、疑惑の全体像を隠したまま幕引きする口実にされはしないか。
今回の調査は、考えようによっては県警が自らの手でうみを出し切る機会でもあった。県警がどこまでもそれに背を向ける以上、やはり外部の機関が調べあげるしかない。県監査委員の徹底した特別監査が必要だ。
その際、高知県の監査を思い出したい。県警の監視がおよばない場所で一対一で聴取するなど、捜査員の保護を最重要視した姿勢が、先ごろまとめた厳しい監査結果を導き出した。
対照的に、本県では聴取に県警会計課員らを立ち会わせた。これでは形だけ取り繕って実績づくりをしたと批判されても仕方がない。事実、監査結果の差も歴然としている。
県は二月補正予算案に捜査報償費の追加を計上、〇六年度当初予算案には本年度累計額をさらに上回る額を盛り込んだ。
捜査に支障が出る事態は避けるべきだが、今回の調査結果では説明責任が全く果たされていない。県議会が厳しくただすのはもちろん、県公安委員会や知事の責任も重い。
現場に責任を押しつけて士気をそぎ、県民の信も失う―それこそが県警にとっての危機であることに気づくべきだ。