HOME>特集
愛媛県警捜査費不正支出問題
2006/02/25付愛媛新聞
県警捜査費内部調査 報告自賛幕引き宣言
警務部長会見 「手法に問題はない」
写真
1998―2004年度の県警捜査費内部調査結果について説明する飯利雄彦警務部長=24日午後
  「自信を持って調査した結果、最終報告だ」―。県警捜査費の内部調査結果がまとまった二十四日、会見した飯利雄彦警務部長は「しっかりやった」と胸を張った。第三者による調査の受け入れなどをあらためて拒否する姿勢を見せ、捜査費問題で事実上の幕引きを宣言した。
  判明した不適正支出については「具体的な捜査活動に伴うものだった。私的な消費や組織ぐるみの使用はない」と不正流用を完全否定。関係者の処分は「年度内に決めたい」と述べ、返還額の負担方法は「責任の所在の観点から速やかに検討したい」と説明。これらをもって捜査費問題に“終止符”を打ちたい考えを随所でにじませた。
  今回の報告では、新たな領収書偽造の手口も発覚。松山東署員が二〇〇二年六月―〇四年三月、協力者に渡す菓子などを購入した際、「領収書がもらえなかった」などを理由に計三十二回、約十一万円分の領収書をパソコンで作成。〇三年四月には東予署(現西条西署)の会計担当者が捜査費残金と帳簿上のつじつまを合わせるため、市販領収書を使い偽造していた。
  飯利警務部長は「重大な問題執行だ。ずさんと言わざるを得ない」としながらも、有印私文書偽造などの疑いについて質問されると「流用の意思が認められない。立件に足るか判断できない」と言葉を濁し、刑事事件としては立件を見送る考えを示した。
  捜査協力者に裏付け確認を一切していない点や、捜査員への聞き取り調査を身内が行う手法に対する批判の声には、従来通り「問題はない」との認識を示した。
  最後に「組織として指導、教養が行き届いていなかった」と総括。「この事実を大変遺憾に感じている。県民の皆さんに深くおわび申し上げたい」と頭を下げた。
【返還方法を検討 警務部長一問一答】
  県警捜査費の内部調査結果について飯利雄彦警務部長が二十四日、県警本部で会見した。主なやりとりは次の通り。
  ―県民が調査結果に納得すると思うか。
  捜査員の意識改革を徹底し、(今春任命する)捜査費アドバイザーによる会議を開くなどして執行の指導、監督に努めたい。
  ―返還の負担割合は。
  責任の所在の観点から速やかに検討したい。とりあえず会計課長が互助会から借りて返還する形になると思う。
  ―捜査協力者からの裏付け確認はしたのか。
  していない。協力者保護の観点は守らないといけない。証拠品の精査など、できる限りの努力はした。
  ―内部職員の聞き取りで捜査員が真実を話せると思うか。
  (話せると)思わないと調査が成り立たない。
  ―これまでに県警関係者の証言などから、私的流用を示す報道があったが、否定するのか。
  否定ということは…。組織として責任を持って結果を出し、そうした事実はなかった。
  ―新たな不正疑惑が発覚したらどうするのか。
  念頭にないが、具体性のあるものが出たら、しっかり(再調査を)やらないといけない。
【県内各党反応 取り組み見守る 自浄能力の限界】
  県警が二十四日発表した捜査費問題の内部調査結果に県内各党は、前向きに評価する意見と、まったく信用できないとの意見に二分した。
  最大与党・自民党県連の中畑保一幹事長は「県民には不十分との意見もあろうが、調査結果を信用したい」。今後は再発防止に向けた取り組みを見守り、本来業務を果たして信頼回復を図るよう求めていく考えを示した。
  公明党県本部の井上和久代表は「これだけ執行上の問題が多いと、もはやミスとは言えず体質的な問題。捜査費は税金という認識をあらためて求めたい」と述べ、「捜査員に毎月一定額の手当を支給するなど、時代に合った支出の在り方を検討しては」と提言した。
  一方、民主党県連の成見憲治代表は「調査結果は信用できず、再発防止策もお手盛りだ」と一蹴(いっしゅう)し、再発防止には第三者機関によるチェック体制の確立が必要と主張。社民党県連の村上要代表も「報告書には事務的ミスしかなく、自浄能力の限界を感じる。再発防止に向け徹底した情報公開を求めていきたい」と力を込めた。
  共産党の佐々木泉県議は「(約千七百九十万円の不適切支出があったとの監査結果が出た)高知県警と額が違いすぎる。身内の調査では信頼できず、県議会や監査委員の手に委ねるべきだ」とし、二月定例県議会に特別監査を求める動議を提出する考えを明らかにした。
【捜査費内部調査報告要旨】
  捜査費不正支出問題で県警が二十四日、発表した二〇〇一年度を除く一九九八―〇四年度の計六カ年度に関する調査結果報告の要旨は次の通り。
 【調査対象・方法】
  二〇〇二―〇四年度と一九九八―二〇〇〇年度の捜査費の全支出は十二万七千四百八十七件(国費六万三千五百二十一件、県費六万三千九百六十六件)、総額六億九千二百七十四万九千三百二十一円。支出にかかわったのは幹部、捜査員ら計四千七百四人。うち幹部らを含む三千二百五十二人への聞き取りを中心に調査。物品購入した店舗や使用した飲食店の領収書を添付しているものは店舗への調査も行った。
 【調査結果】
  六カ年度の総支出件数のうち二十八件五万三千八百十六円が捜査費として支出し得ない使途。千百九十六件二百七十六万五千三百三十一円が支出し得る使途の心証は得られたが、手続き上の問題が認められた。
  <捜査費以外の使途>
  (1)捜査員が単独あるいは相勤者と張り込み捜査などの際、深夜十時から朝七時までに補食を取ることができず、規定時間外に補食費を捜査費から支出した不適正な予算執行が認められた。各署別では、松山西八件一万三千八百三十四円▽松山南一件二千百六十三円▽西条一件千八百五十八円▽松山東一件千百七十六円▽大洲一件二千二百七十三円▽今治二件三千三百四十五円▽伊予二件三千六十九円▽御荘(現愛南)一件四百五十一円▽捜査一課一件三千円。
  (2)今治署で〇二年五月、犯罪捜査などに当たらない警備訓練で、状況報告用のフィルム現像代八百八十円を捜査費から支出していた。
  (3)松山東署で〇二年十二月から〇四年一月にかけ七回、捜査協力者に渡す焼酎の購入などに支出した一万八千三百五十五円をはじめ、計九件二万千七百六十七円が県費捜査報償費にすべきものを国費捜査費として支出されていた。
  <手続きに問題>
  手続き上に問題があった代表例の一つは、松山東署が〇二年六月から〇四年三月にかけ三十二回にわたり、捜査協力者への謝礼として菓子や果物などを購入した際、店舗でもらわなかったなどの理由で自ら領収書を作成、支払い証拠書に添付した。
 【支出実態総括】
  〇一年度を含む九八―〇四年度の計七カ年度で、総支出件数は十五万八千三百九十件、支出総額は八億千二百九十二万八千五百五十一円。うち捜査費以外の使途が六十八件二十六万四千二百四十九円、手続き上の問題が認められたのが千七百八十四件四百九万千百八十九円。総件数千八百五十二件、総額四百三十五万五千四百三十八円に上った。
 【返還】
  (〇一年度分を除く)捜査費以外の使途二十八件五万三千八百十六円(国費三万四千八百八十一円、県費一万八千九百三十五円)を返還する。また手続き上の問題が認められた千百九十六件のうち、返還済みの十三件(返還額二万八千四十四円)を除く千百八十三件二百七十四万五百九十四円(国費百五十一万八千九百三十九円、県費百二十二万千六百五十五円)を自主的に返還する。
  【改善方策】
  〇五年十二月の報告書に記載した効果的な指導・教養や事後監査のための諸方策に加え、指導・教養係の新設▽捜査費アドバイザーの指定▽定期監査の充実▽諸雑費の配分方法の見直し▽支出基準の見直しと明確化―などで適正な支出に万全を期する。


HOME

Copyright(C) The Ehime Shimbun Co.,Ltd.