2006/02/25付愛媛新聞
ミス並べ真実見せず 再び身内に甘い対応
県警捜査費内部調査
[解説] 県警は二十四日、一九九八―二〇〇四年度の全捜査費について、1%に満たない支出額を「問題あり」として内部調査の終結を宣言した。内部告発などを踏まえると、細かいミスを並べることで、私的流用など重大な不正を覆い隠したとの印象はぬぐい切れない。
問題とされた支出は国費と県費の混同や、規定時間外の軽食購入など、初歩的な会計処理のミスばかり。ただ、県警全体で公金を扱う意識が欠如していたことは浮き彫りになった。
また松山東署と東予署(現西条西署)で、捜査員や会計課員による領収書偽造が新たに発覚。飯利雄彦警務部長は、流用がない点などを考慮し「現時点で立件できるか判断できない」と述べ、身内に甘い対応を見せた。
二十二日に出た高知県警に対する特別監査結果では、調査した捜査報償費(県費)の30%を超える額を不適切な支出と認定。今回の結果とは雲泥の差で、内部調査の限界をあらためて露呈した。
高知県の監査で成果が出たのは、捜査員が本音を話し、不正を暴露したことに尽きる。同県監査委員が聴取場所を警察から離れた県庁舎にし、証言者が特定されないよう配慮したからだ。
愛媛県警による調査では、捜査員に事情を聴いたのが上司や同僚。捜査員が不利益な処遇を心配し、真実を話せるわけがない。さらに県警は二年近くにわたり調査しながら、捜査費を受け取った協力者から一度も話を聞かなかった。私的流用は「心証がない」だけで、裏付けはない。内輪の調査では、いつまでたっても真相は闇の中だ。
二月定例県議会で交わされる県警の内部調査結果についての論戦は、県民の目線に立つと同時に、県監査委員による特別監査のやり直しも視野に入れるべきだろう。
(社会部・池田正人)
【外部監査で再調査を 県民反応】
「謝れば済むような部分しか出していないのでは」「納得できない」。県警が二十四日に公表した一九九八―二〇〇四年度の捜査費の内部調査結果に、県民から一様に批判の声が上がった。打ち出した再発防止策にも「不正根絶につながらない」と厳しい指摘。再調査を望む声もあるなど、県警に対する不信感はますます募りそうだ。
納得できない調査結果は、かえって県警への不信感を高める要因ともなり、「裏金などがないというのは全く信じられない」=宇和島市、自営業男性(61)、「捜査機関だから隠せるのだろう」=松山市、男子大学生(21)=との見方も。
「幹部の遊興費などを問題にすべきだ」と指摘する伊予郡松前町の主婦(53)は、再発防止策として新設される指導・教養係やアドバイザーの効果を疑問視。「内部組織でない監査体制をつくってほしい」と話した。
松山市のタクシー運転手男性(56)は北海道警や高知県警との違いを挙げ「調査方法に問題があるのではないか」と指摘。新居浜市の無職男性(62)も「県民の視点に立ってもっと厳正に調査すべきだ」、同市の主婦(73)は「県の来年度当初予算で捜査報償費が増額されているのは納得できない」と、いずれも再調査の必要性を訴えた。
領収書偽造による捜査費支出が新たに判明したことに、宇和島市の会社員女性(45)は「そこまでして領収書を作らないといけない理由は何なのか」と首をかしげた。
【県民を愚弄するだけ 識者や告発者】
捜査費約四百三十五万円を不適正支出とした県警の内部調査結果。有識者や内部告発者からは「全く真実が語られていない」「幕引きを図ろうとしている」などと批判の声が相次いだ。
実名告発した県警地域課の仙波敏郎巡査部長は「(内部調査ごとに)少しずつ金額を増やしているだけ。犯罪者が犯罪者を調べており、真実は出るはずがない。そんな調査を繰り返しても県民を愚弄(ぐろう)するだけだ」と指摘。「不正にふたをするのではなく、真摯(しんし)な姿勢で取り組み、非は非と認めてほしい」と話した。
オンブズえひめ事務局長の今川正章弁護士は「最前線の捜査員の不手際だけを取り上げ、問題を矮小(わいしょう)化している。内部調査は全く信用できず、いま一度、高知や北海道並みの特別監査をすべきだ」と訴えた。
北海道警の裏金問題を追及している市川守弘弁護士=札幌市=は「捜査費問題に幕引きを図ろうとする調査結果で、県民をばかにしている」と憤慨。「県民はもっと怒り、徹底した監査を求めるべきだ。外部からのメスを入れない限り、県民の信頼は回復できない」と強調した。
【冷静に受け止めたい】
加戸守行知事の話 調査に精力的に取り組んだ労苦を多とし、調査結果は冷静に受け止めたい。県民もある程度は納得するのではないか。今後は不適正な執行とならないよう、県警にはこれまでの執行の在り方を反省し、万全の体制で取り組んでもらいたい。犯罪捜査の実が上がることが一番大切で、実態に合わせたルールに従って適正に処理してほしい。
【再発防止さらに徹底】
粟野友介・県警本部長の話 誠に遺憾で県民に深くおわび申し上げる。問題執行の返還手続きを速やかに実施し、再発防止をさらに徹底する。執行内容や手続きにいささかの疑念も生じさせないよう捜査費経理の意識改革を推進し、執行の適正に万全を期し、県民の信頼を回復したい。
【意識改革に努める】
吉村典子・県公安委員長の話 一部に不適正な執行や手続きに問題が認められ、誠に遺憾。私的な消費や「プール金」による組織ぐるみの不正はなかったが、県警に対し、職員の意識改革に努めるとともに、公金の適正執行の指導や再発防止に向けた改善措置を徹底するようあらためて指導した。