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愛媛県警捜査費不正支出問題
2005/01/21付愛媛新聞
現職警官が実名告発 偽名領収書、三島など7署で
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捜査費不正支出の実態を告発する県警地域課鉄道警察隊の仙波敏郎巡査部長(中央)=20日午後2時40分ごろ、愛媛弁護士会館
  県警の捜査費不正支出問題で、偽名領収書の不正作成の実態を愛媛新聞社に証言していた県警本部の現職警察官が二十日、松山市三番町四丁目の愛媛弁護士会館で実名で会見した。
 地域課鉄道警察隊の仙波敏郎巡査部長(55)で、一九七三年から九五年にかけて、県内の複数署で偽名領収書を作成するよう上司から依頼されたことをあらためて明らかにし「裏金づくりのシステムだった」と証言した。警察の裏金問題を追及するオンブズえひめ(草薙順一代表)によると、捜査費問題で現職警察官が実名告発するのは全国で初めて。
  仙波巡査部長は六七年四月に採用。七三年、三島署に転勤した際に初めて偽名領収書作成を依頼された。同署の会計課長から領収書に電話帳から抽出した名前と住所を書くよう求められた。以降、異動先の東予、宇和島、今治、松山東、伊予の各署でも同様の依頼を受け、九五年に八幡浜署で依頼されたのが最後だという。
  領収書の金額は三千円から一万円。年に二回ほど、一回につき三枚の作成を依頼されたという。仙波巡査部長は依頼を拒否し続け、「県警で拒否したのは、私ともう一人だけだった」と話した。
  また、県警で「カラ出張」があったことも告白。以前は署の会計課に印鑑を預けていたが、覚えのない東京出張をしたとする書類の存在を同課員に指摘されて気付いた。印鑑は八幡浜署に勤務していた九七年まで預けていたという。
  現在勤務する鉄道警察隊では、警察官が勤務のため列車を利用する際に支給される「警乗手当」で、不明瞭(ふめいりょう)な事務処理が行われていることも明らかにした。「列車に乗る隊員のシフト表を作っているが、別の隊員が実際より乗務回数を多くした表を作って本部に報告している」という。
  仙波巡査部長は、実名証言の理由について「正義感から」と説明。十九日夜から二十日朝にかけて、複数の県警幹部から証言をやめるよう説得工作があったことも打ち明けた。
  会見に同席したオンブズえひめの弁護士は「実名証言したことで不利益を受けないよう監視し、全力で保護したい」と強調した。
【内容を確認する
  前山忠実県警会計課次長の話 本人が何を基に話したか分からず、コメントできない。所属長を通して早急に本人と会って内容を確認したい。ただ偽領収書やカラ出張、警乗手当の不正は聞いたことがないし、ないと思っている。
本人と話したい
  吉村典子県公安委員長の話 個人的には証言した本人と会って話を聞きたい。二十六日の定例委員会までに会見内容の資料を提出するよう委員会補佐室に指示し、委員三人で資料を見て話し合った上で、警察に対して何を指示しなければならないか考える。
県警の報告なし
  藤山雄治警察庁会計課企画官の話 愛媛県警から本件の報告を受けていない。具体的な事実関係を承知しておらず、答えられない。
実態解明へ貴重な材料
[解説]
 県警の捜査費不正支出の実態を現職警察官がついに実名で証言した。現職が組織の不正を告発する行為は、今後の処遇などを考えると実行に移すのは容易ではない。それだけのリスクに相対した上での証言は、警察の裏金づくりを裏付ける貴重な材料となるだろう。
  捜査費問題を追及する「明るい警察を実現する全国ネットワーク」事務局長の清水勉弁護士(東京)は「組織の問題を内部から実名で指摘しており、実態解明に向けて効果は絶大だ」と高く評価する。
  証言内容は具体的で、信ぴょう性が高い。偽名領収書の作成を依頼された時期を一九七三年から二十三年間と明示し、会計課長とのやりとりも鮮明に告白している。大洲署での「捜査費の不適切な会計処理」(県警)が「不正な会計処理」だったことを補強するものだ。
  さらに大洲署だけの問題ではない可能性も高まったといえる。オンブズえひめの今川正章弁護士は「組織ぐるみで長期にわたって不正が行われていた」と断言。領収書偽造でつくった裏金を署員に分配するという以前の慣習について、今川弁護士は「組織が共犯意識を共有させた」とみる。
  現在進められている県警への県監査委員による特別監査への影響も大きい。仙波敏郎巡査部長は現職の立場から「県警側の人間が誰であれ同席すれば本音は話せない」と指摘。捜査員への聞き取り調査には現在、会計課員が立ち会っているが、真実を話せるよう個別の「対面聴取」があらためて求められよう。
  今川弁護士は「会計検査院に公開する会計資料を監査委員に非公開とは委員を侮辱している」と批判する。現職警察官が実名告発した今、真実を覆い隠そうとする従来の姿勢では、県民が到底納得できないことを県警は肝に銘じるべきだ。
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