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病気腎移植に関する学会声明・見解要旨 2007年04月01日(日)

 日本移植学会、日本泌尿器科学会、日本透析医学会、日本臨床腎移植学会が三十一日に出した「病腎移植に関する学会声明」と見解の要旨は次の通り。
 わが国の生体腎移植は、日本移植学会倫理指針に基づき、健康なドナー(臓器提供者)が家族を救うために提供する移植で、腎臓も健常であることが前提。第三者からの病気腎移植は想定していなかった。
 病気腎移植という実験的な医療が医学的・倫理的観点の検討なしに閉鎖的環境で行われたことは厳しく非難されるべきだ。これを実施した病院は、これらの実験的医療を行うには種々の手続きを含め体制が極めて不備だった。
 移植医療は、ドナーの意思が尊重され、その権利が守られなければならない。一連の病気腎移植で、医学的見地からの問題やインフォームドコンセント(十分な説明と同意)、倫理委員会審議などの欠如や不透明さが判明したことは、移植医療として多くの問題があったと言わざるを得ない。
 医学は日進月歩であり、臓器移植の新しい治療法は今後も研究開発されるだろう。これを推進する上では厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」にのっとらなければならない。日本移植学会は、臓器提供を必要とする移植医療では同指針に加え、学会員と非学会員も新しい診断・治療方法などの提案を審議・推進する体制を整備する方針である。将来の臓器提供範囲拡大についても、学会・社会の中で十分公開して議論し、透明性をもって行う所存である。
 (1)腎臓摘出の医学的妥当性
 (1)良性疾患
 ネフローゼ症候群、全身性エリテマトーデスは、ふさわしい内科的治療を受ける機会が与えられるべきだが、十分な医療を受けていたという確証が得られない。適切に内科的治療を受けていれば、病勢を管理できた可能性を否定できない。
 腎動脈瘤(りゅう)、腎血管筋脂肪腫(しゅ)、石灰化腎嚢(のう)胞などは、腎臓を温存するような治療を第一選択とするのが原則。例外として摘出が選択肢に入る場合は、治療の選択と利点・欠点の情報を患者に適切に与え、記録に残さなければならない。
 腎膿瘍(のうよう)は抗生物質などの投与で治癒に努めるべきである。B型肝炎ウイルス抗原陽性ドナー提供の腎移植は、肝炎伝搬の危険性が極めて高く禁忌である。
 (2)悪性疾患
 腎がん、尿管がんなどは、症例ごとに治療の選択肢が異なる。摘出、腫瘍(しゅよう)のみ切除の場合もあるが、利点・欠点を説明した上でインフォームドコンセントを得なければならない。十分な資料が残ってないため、医学的妥当性や、インフォームドコンセントの妥当性は判断できなかった。
 (2)摘出の説明と書面による同意
 多くの症例で確認できなかった。
 (3)摘出腎臓を第三者に移植することの説明と書面による同意
 摘出の同意が提供への同意を意味するものではないから、提供の説明も文書が原則で十分な説明が必要。多くの症例で十分な説明と書面による同意が確認できなかった。ある症例では不十分だった。摘出と移植が同一病院で行われている場合、移植医自身が第三者からの摘出腎を移植に利用する説明を行っていた。
 (4)病気腎移植の医学的妥当性
 感染腎や腎動脈瘤では感染症や破裂を持ち込むリスクがある。腎動脈瘤の腎臓摘出は、そもそも破裂の危険性があるという理由だが、その動脈瘤が治療されずに移植されている。生着率が劣るとのデータもある。
 悪性腫瘍を有する患者の腎臓を移植腎として用いることは腫瘍細胞の持ち込みの可能性が否定できず、さらに免疫抑制治療下では、持ち込まれた腫瘍細胞による再発のリスクが高まる。生存率が劣るとのデータもある。以上より、現時点では、病気腎移植は医学的に妥当性がない。
 (5)腎臓摘出方法
 病気治療のための摘出なら、手術は患者のリスクを高めない方法を選ぶのが原則。明らかに移植用の術式が選ばれた例もある。特にリスクの高い術式によった例もある。
 (6)レシピエント(移植患者)選択の手続き
 一定の基準はなかった。公平公正の原則からは考慮されていない。かなりかけ離れたレシピエントプールから選択されている。
 (7)レシピエントに対する病気腎移植の説明と書面による同意
 多くの場合で得られていない。
 (8)倫理委員会などでの検討や承認
 多くの場合で得られていない。なお実験的医療であるにもかかわらず、当該医療機関の管理者も、病気腎の提供や移植についての医学的意味について認識していない。