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特集 捜査費不正支出2008年10月01日(水)付 愛媛新聞

[社説]告発警官二審も勝訴 県警は判決を重く受け止めよ

 県警の捜査費不正支出を内部告発し報復人事を受けたとして現職の巡査部長が県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、高松高裁は百万円の支払いを命じた一審松山地裁判決を支持し、県の控訴を棄却した。
 昨年九月の一審判決は、告発会見直前の上司の説得行為、配置転換、勤勉手当の減額はいずれも違法とした。配置転換への県警上層部の関与についても、「本部長の関与を否定できない」と組織的に違法な配置転換が行われたことを認定した。原告側の「内部告発への報復」との主張を全面的に受け入れた判決で、県警の完全敗北だった。
 これに対してきのうの高裁判決は、訴訟の根幹である配置転換について「組織的対応と別行動をとったことへの嫌がらせや見せしめとみられる」とあらためて違法と認定した。手当の減額についても「説明もなく不合理」とした。一方で当時の本部長の関与を否定し、説得行為についても適法とした。
 原告にとっては事実認定で後退した部分があり、不満な点があろう。
 しかし、今回の高裁判決で県警の主張は、二〇〇六年六月の巡査部長の配置転換処分を取り消した県人事委員会の裁決を含めると三度も否定された。県警はこの事実を重く受け止めなければならない。
 配置転換について県人事委は「健全な社会通念に照らして妥当性を欠く」と指摘、高裁も「著しく妥当性を欠く」と指弾した。巡査部長に対する県警の一連の措置は、一般常識からかけ離れた組織防衛と言われても仕方ない。
 県警は配置転換が違法だったことを認め、巡査部長に謝罪することだ。それが警察への県民の信頼を取り戻す第一歩である。
 この訴訟の本をただせば、巡査部長の裏金告発に行き着く。一審判決は「安易に否定できない」と間接的に裏金の存在を認めた。しかし、高裁は事実認定を避けた。
 巡査部長側のみならず、県民の多くも裏金問題に踏み込んだ判決を期待していた。それだけに高裁判決は残念で、釈然としない部分もある。
 控訴した県警側は、一審判決を覆すためには告発内容を否定しなければならなかったはずだが、裏金問題に触れないままだった。
 また、控訴審は三回の口頭弁論が開かれただけだった。実質的な審理は一度もなかった。果たして控訴に意味があったのか。県や県警は議会などを通じて県民に説明する必要がある。
 上告について県警は明言していない。しかし、控訴段階ですら一部の県議は控訴議案に反対した。これ以上公金を支出して裁判を続けることに県民の理解は得られまい。

   
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