ある程度予想された結果とはいえ、やはり割り切れない。
二〇〇一年度に大洲署で執行された捜査報償費は不正だとして、知事と県警本部長に対し、当時の署長らに約百十万円の返還を命じるよう求めた住民訴訟で、高松高裁は原告側の控訴を棄却した。
地方自治法上の監査請求期限を根拠に門前払いした松山地裁同様、原告側の求めた証人尋問などは退けられ、わずか一回の口頭弁論で即日結審していた。踏み込んだ判断が望みにくい状況だったのは確かだろう。
原告側は上告するか検討するというが、書面審理中心の最高裁での逆転は容易でなかろう。それを考えれば実質審理の機会を逃したのは残念だ。
県警の捜査費問題にからんでは、告発警官の異動に対する国家賠償請求訴訟なども進む。なかでも核心部分を正面から問うのがこの住民訴訟だった。
大洲署では元会計課長の証言のほか、飲食店の偽造ゴム印などの証拠もある。県警は他のケースも含め、会計処理の誤りにすぎないと主張してきたが、大洲署の事例は組織的不正の存在を強く疑わせる。疑惑解明には公益性があった。
それだけに高裁判決は肩すかしで、「木を見て森を見ず」の印象を受けてしまう。
裁判で焦点となったのは住民監査請求の期限の解釈だ。
請求期限は違法な公金支出などから一年以内とされ、それを過ぎた場合は正当な理由がないと認められない。では正当な理由とは何か。最高裁は判例で、相当の注意力をもって調査を尽くしても不正を知ることができなかったか、不正を知ってから相当の期間内に請求したか―を判断基準に挙げている。
原告の監査請求は支出から三年以上たった〇五年五月だ。高松高裁はこの点、一年近く前の〇四年六月には報道で把握できたと結論づけた。
だがこの時点では発覚から間もない。知事が特別監査に言及した事情もある。県警の内部調査後、実際に特別監査したものの、県警の非協力的姿勢もあり消化不良に終わっている。
提訴が視野に入る住民監査請求よりもまず公的機関の動きを見守った原告の手順には合理性がある。逆にもし早期提訴となれば、県警は係争中を口実にますます口をつぐまなかったか。
情報を握りながら開示姿勢に乏しい県警に対し、県民に早い段階での請求義務を課すのも公平を欠くし、現実的でない。
一、二審とも請求が退けられたとはいえ、県警の信頼回復にはつながらないはずだ。
異動警官の国賠訴訟で松山地裁は請求を全面的に認めた。判断基準の一つとした告発内容の真実性について判決は「容易に否定できない」としている。
県警の意向で県は控訴した。ただ判決を覆すには告発内容の真偽は避けて通れまい。県民の多くが釈然としない控訴も追究の場になるなら意義はある。
捜査費訴訟での正面突破が難しい以上、国賠訴訟でより踏み込んだ司法判断を求めたい。