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特集 捜査費不正支出2007年09月22日(土)付 愛媛新聞

国家賠償請求訴訟の控訴議案が県議会で可決され、報道陣に囲まれる広田耕一県警本部長(右)=21日

[スコープ]県警配転国賠訴訟 県議会が控訴議案可決 「裏金」の争点化不可避 県警 重い立証責任負う

 県が敗訴した、県警の仙波敏郎巡査部長(58)による国家賠償請求訴訟の控訴議案を県議会が二十一日、可決し、県の控訴が確定的となり、訴訟の舞台は高松高裁へ移ることになる。控訴審の審理のベースとなる原判決は実質的被告の県警がとった配置転換などの一連の行為を明確に「違法」と断じている。それだけに県警側が原判決を覆すには、裏金問題を指摘した告発内容の真偽にまで踏み込んだ上で「正当性」を主張することが不可避とみられる。
 原判決は、告発内容について「真実性を安易に否定できない」とし、暗に裏金の存在を認める判断を県警に突き付けた。さらに告発には公益性があり、県警が告発会見前にした説得行為の一部、配置転換、勤勉手当減額の三点を、いずれも「相当性を超えており違法」と断じた。さらに一連の行為には県警本部長が関与したとも認定した。
 控訴審で県警は、会見中止の説得行為は公務員の守秘義務違反などがないか確認するためで不当ではなく、配置転換は原判決で唯一主張が認められた拳銃保管(取り上げ)から始まった一連の措置として、いずれも違法性がなかったと主張するとみられる。
 しかし、控訴議案に賛成した自民党県議からでさえ「世間は県警に裏金があったと思っている。(控訴審では)裏金がないことをしっかりと主張し、県民に理解してもらわなくてはならない」と注文が付いたように、原判決が認定した「告発の公益性」に対する反論なしでは、県警が主張する「一連の行為の正当性」は説得力を欠く。
 だが控訴議案を提案する過程で加戸知事は「訴訟は捜査費不正支出の有無を扱っていない」と発言。広田耕一県警本部長も「告発や会見の中身で一連の措置をとったわけではない」と述べ、裏金問題を争点化させないよう“予防線”を張ったようにも映る。
 原告側弁護団は控訴を「都合の悪い判決の確定先延ばしと裏金問題の隠ぺいが目的」と批判。一方で同訴訟を「裏金問題の追及の場」と位置付ける原告側にとって、県警が告発内容の立証を図ることは好都合でもある。支援弁護団長の薦田伸夫弁護士は「控訴審で県警が裏金問題の“土俵”に上がってくるなら望むところ」と待ち構える。
 訴訟費用は一審で約二百十万円。控訴審は弁護士への当面の着手金などで約七十万円で、さらに膨らむとみられる。判決で命じられた百万円の賠償額をはるかに上回る訴訟費用が掛かっている。
 控訴について愛媛大法文学部の横山信二教授(行政法)は「県警は組織内部だけの価値観に立ち、納得がいかないと駄々をこねているようにしか見えず、税金の無駄遣いだ」と批判する。本質を置き去りにした形だけの控訴では県民の理解は得られない。県警は一層重い立証責任を背負ったことを自覚すべきだ。
(社会部・和泉太)

   
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