県議会は二十一日、県警の仙波敏郎巡査部長(58)による国家賠償請求訴訟で県警の違法行為を認め損害賠償を命じた松山地裁判決を不服とし、県が高松高裁に控訴する議案を自民党などの賛成多数で可決した。県は二十五日の控訴期限までに手続きを行う。
本会議で警察経済委員会の本宮勇氏(自民)が議案の委員会可決の経緯や結果を報告。佐々木泉(共産)阿部悦子(環境市民)の両氏が反対、清家俊蔵氏(自民)が賛成の立場で討論した。
佐々木氏は仙波巡査部長の配置転換処分を取り消した県人事委員会裁決や、県警の再審請求の却下、さらに今回の敗訴をとらえ「三連敗を喫し、また繰り返そうとするのか」と県や県警の姿勢を非難。「県警は裁判に熱中するのではなく、信頼回復と本来業務にまい進すべきだ」と主張した。
阿部氏は「県議会は県警の主張は繰り返し聞いているが、仙波巡査部長の話は聞いていない」と指摘。「県と県議会は機能不全に陥っている。判決は大方の県民が支持しており、政治不信の時代に県民の期待を裏切らないためにも控訴を取りやめるべきだ」と訴えた。
一方、清家氏は「判決の事実認定に疑義があり、県議会が控訴の権利を奪えば現場警察官の士気にも影響を与えかねない」と強調。一連の訴訟を警察内部の人事権行使に関する「民事案件」とし、「時々の感情論、同情論で(控訴権という)正当な権利を奪うことは許されない」と述べた。
採決では自民、公明・新政クラブが賛成し、民主、社民・護憲連合、共産、環境市民が反対した。
広田耕一県警本部長は「議会の理解は大変ありがたい。控訴審では主張が認められるよう説明を尽くしたい」と話した。
【支援弁護団が「遺憾」の声明】
県議会が仙波敏郎巡査部長による国家賠償請求訴訟の控訴議案を可決したことを受け、仙波巡査部長の支援弁護団(薦田伸夫弁護団長)と仙波さんを支える会(東玲治代表)は二十一日、「遺憾」とする共同声明を発表。県の控訴を「警察の裏金問題の隠ぺいと先送りを図る県警の意向に沿ったものと評価せざるを得ない」と非難した。
松山地裁判決が裏金問題を「安易に否定できない」とした点などを踏まえ、仙波巡査部長の告発を公益通報に当たると指摘。「知事や議会がその点を顧みないことは公益通報者の人権をさらに蹂躙(じゅうりん)し、今後に続く公益通報を躊躇(ちゅうちょ)させ、県民の利益を損なうことになるのではないか」と表明している。