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特集 捜査費不正支出2007年09月12日(水)付 愛媛新聞

県警配転国賠訴訟判決要旨

 県警の捜査費不正支出問題に絡む国家賠償請求訴訟で十一日、松山地裁が出した判決の要旨は次の通り。
 【記者会見妨害行為の存否と違法性】
 説得行為などは、捜査費問題に関し原告が記者会見するという風聞に基づき、県警本部長ら上司の指示を受けた地域課長らが内部告発に関する情報を収集する過程で行われた。「公権力の行使」として職務で行ったことは明らか。「違法」となるかは告発内容の真実性、告発の目的などの相当性に照らして必要性、相当性などを総合的に考慮して判断すべきだ。
 北海道警などで捜査報償費等が組織的に不適切に執行されていることが明らかになるなど全国的に警察内部の裏金作りが問題視されていたこと、元警察職員の告発を発端に大洲署での不適切な会計処理が明らかになり、同署以外の捜査費問題について内部調査が行われていたこと、原告が三十年以上県警警察官であることなどを考慮すると、本件内部告発内容の真実性を安易に否定することはできない。
 不正や犯罪を防止し取り締まるべき警察内部の会計処理の不正という告発内容の公益性や会見に至った経緯、会見後の原告の行動などに照らすと、告発の目的が不当とは言えない。内容の公益性に照らせば、記者会見することも不相当とはいえない。
 上司らが原告を勤務時間終了後に職場に呼び出した上、深夜近くまで記者会見をやめるよう説得し、会見と異動の関連をほのめかすような発言をした会見前日の二〇〇五年一月十九日の説得行為や、会見当日、早朝から原告の自宅を訪れ、所在を突き止めるべく奔走し、直前まで原告の携帯電話に連絡して会見をやめさせようとした行為は、説得行為として相当性の程度を超えたものと評価せざるを得ない。
 内部告発の信ぴょう性、目的、手段の相当性を総合的に考慮すると、十九日と二十日の説得行為などは違法といわざるを得ない。
 【拳銃保管の違法性】
 二十日の説得行為で自傷他害の恐れを心配して原告の自宅を訪問したとの地域課長らの供述は信用できない。拳銃保管を契機に違法な配置換えがされていることから、拳銃保管が他の警察官に対する見せしめとの疑いもないではない。
 しかし、息子や妻の墓に別れを告げ思い残すことはない旨などを述べる原告と面談し、会見で涙を流し「辞めるときは死ぬ時」などと発言したことなどを伝え聞いた地域課長が、原告の精神状態が不安定と判断したとしても不合理とはいえない。地域課鉄道警察隊で市民と直接接する職務に従事していた原告の顔が会見で周知され、衆人環視の的になる可能性があることなどを考慮して不慮の事故を想定したことも不合理とはいえない。
 地域課長の判断が全くの事実の基礎を欠く、あるいは社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を超え、または裁量権を濫用(らんよう)しているとまではいえない。拳銃保管は違法ではない。
 【配置換えの違法性】
 配置換えの経緯▽当日欠勤していた地域課長に代わって生活安全部長が内示▽係を新設した上で配置換えがなされたが、係増設や配置人員は県警本部長の権限―などに照らせば、配置換えが地域課長の権限のみに基づいて行われたことは到底あり得ない。県警本部長が関与したことを否定することはできない。
 配置換えは記者会見の直後で、内部からの造反に対して、いわゆる報復として行われたことが推認される。拳銃保管したため鉄道警察隊から異動させる必要があったというが、自傷他害など不測の事態発生の恐れが長期間にわたり継続する事情はうかがわれない。
 様子を見るため短期間、拳銃を携帯せずに鉄道警察隊で勤務させることも可能だったと考えられ、同隊に勤務していても聞き取り調査は十分可能で、記者会見で原告の顔が周知されたとしてもほとぼりが冷めるまでは事務処理をさせることも可能などの点を考えると、配置換えの理由はいずれも推認を覆すものとはいえず、社会通念上著しく妥当性を欠く。
 被告が主張するように通信指令室体制強化の必要性が認められるとしても、原告を配置換えする必要性の理由にはならないというべきで、本件配置換えは違法である。
 【勤勉手当減額の違法性】
 原告は〇五年二月十日には本件配置換えなどを違法として本件訴訟を提起し、同月二十三日には県人事委員会に不服申し立てをした。配置換えに至る経緯なども考慮すると、本件訴訟を提起していた原告の勤務実態や勤務に対する積極性が多少低下したとしても不利益に扱うことは妥当ではないというべき。
 原告が地域課通信指令室に異動になってから注意処分などを受けた事実がなく、勤務成績の評定に対して評価の説明を求めても被告から具体的な回答がなかったという事実を併せて考慮すると、原告の成績の評定を下げることは社会通念上著しく不合理で、これに伴う勤勉手当の減額は違法。
 【損害額】
 説得行為などの一部、配置換え、勤勉手当の減額は違法で、これらが県警本部長も関与して行われたこと、原告は県警に勤務する現職の警察官であることなどにかんがみると、原告の被った精神的苦痛は軽微なものとはいえず、慰謝するためには百万円が相当。

   
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