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特集 捜査費不正支出2007年09月12日(水)付 愛媛新聞

仙波敏郎巡査部長の国賠訴訟判決で「勝訴」の懸垂幕を掲げる原告側代理人=11日午後1時10分ごろ、松山地裁前

県警配転国賠訴訟判決  裏金解明へ光差す 他訴訟 後押し期待 「存在 暗に認められた」

 北海道や高知県など全国の警察で表面化した裏金問題。県内でも二〇〇四年五月、大洲署で偽造領収書問題が発覚した。その社会情勢の中で実名告発した仙波敏郎巡査部長への県警の対応は、問題を早期に沈静化させようと躍起になった県警幹部の焦りが招いた行動だった。県警が主張した「正当性」は十一日の松山地裁判決で「違法」とされた。そのことが核心の裏金の実態解明への足掛かりになると、各地で問題に取り組む人たちは声を上げた。
 「警察が組織を挙げて排除しようとした内部告発者を守った今回の判決は非常に重大な意味を持つ」。原告側証人として出廷した元北海道警幹部で道警の裏金問題を実名告発した原田宏二氏は、今回判決を位置付ける。
 「報復人事ではない」「本部長の関与はない」とした県警の主張がことごとく否定されたことで、「組織的な裏金づくりはない」としている説明にも疑問符が付く。原田氏は「裏金問題を正面から争っている警乗手当返還訴訟や(ファイル交換ソフト)ウィニーによる捜査情報流出に端を発した捜査費返還住民訴訟などへの大きな後押しになる」と力を込めた。
 明るい警察を実現する全国ネット事務局長の清水勉弁護士は違法行為に本部長が関与したと認めた点を高く評価した。「正面からとはいえないが、判決は裏金の存在を暗に認め、本部長指揮の下、それを隠そうとしたと言っている。これまでにない画期的な内容だ」と驚きの声を上げ「今後は警察庁の在り方も問われるだろう」と話した。
 一方で内部告発者を守るという観点から愛媛大法文学部の横山信二教授(行政法)は今回の判決を分析する。
 横山教授は「公務員の身分保証は手厚く、本人が不利益処分を主張した際は救済されるケースは少なくない」と前置きしつつも「県の組織とはいえ、独立性が高い警察組織の運営の在り方に司法が踏み込んだ点で意義がある」。
 内部告発者に対して短期間での配置転換やその後の減給処分は警察の人事問題と片付けることなく、後に続く告発者を守る点で公益性が高い。横山教授は「情報公開の流れや公益通報者保護法の趣旨に沿った妥当な判断」と評価した。
【県警捜査費不正支出と国賠訴訟の経緯】
 2004年5月 大洲署で捜査費不正支出問題が発覚
 05・1・20 県警地域課の仙波敏郎巡査部長が告発会見
 24 仙波巡査部長に地域課鉄道警察隊から同課通信指令室への配置転換を内示
 27 配置転換が発令
 2・10 仙波巡査部長が「報復人事」として国家賠償請求訴訟を起こす
 23 県人事委員会に配置転換処分取り消しなどの不服申し立て
 3・24 警乗手当約1万3000円が未払いとして提訴
 8・5 仙波巡査部長支援弁護団らが大洲署の01年度捜査報償費は不正支出として約110万円の返還を求め提訴
 06・3 ファイル交換ソフト「ウィニー」による県警の捜査資料流出が発覚。捜査費の不正支出を疑わせる文書も
 6・7 県人事委員会が「人事権の乱用」として配置転換取り消しを裁決
 7・20 捜査情報流出に絡み、支援弁護団が01、02年度に県警捜査一課が支出した捜査費約17万円の返還命令を求め、知事と県警本部長を提訴
 9・26 国賠訴訟で粟野友介元県警本部長が証人出廷、配置転換などへの関与を否定
 07・3・29 01年度の大洲署の不正支出返還を求めた住民訴訟で松山地裁が訴えを却下
 6・19 国賠訴訟が結審

   
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