
県警の捜査費不正支出問題で内部告発したため不当に異動させられ精神的苦痛を受けたとして、仙波敏郎巡査部長(58)が県を相手に慰謝料百万円を求めた国家賠償請求訴訟の判決が十一日、松山地裁(高橋正裁判長)で言い渡される。双方の主張が真っ向から対立している配置転換命令の正当性や県警上層部の関与などが主な争点となる。さらに、原告側は告発に至った県警の裏金づくりの実態についても主張しており、判決で県警の裏金問題にどこまで踏み込むかも注目される。
【経緯】
二〇〇五年一月二十日、県警地域課鉄道警察隊に所属していた仙波巡査部長が会見を開き「過去に偽名領収書を作成するよう上司から依頼された。裏金づくりのシステムだった」などと県警の捜査費不正支出を実名で告発。同二十四日、県警は仙波巡査部長に同じ地域課内の通信指令室への配置転換を内示。同二十七日、地域課長が辞令を交付した。
仙波巡査部長は二月十日、異動は不当として国賠訴訟を起こし、同二十三日、県人事委員会に配置転換などの処分取り消しを申し立てた。県人事委は〇六年六月、「配置転換は人事権の乱用」として処分を取り消し、同巡査部長は元の鉄道警察隊に復帰している。
【主張】
訴訟で原告の仙波巡査部長は「告発会見に対する報復人事。県警本部長ら上層部の関与があった」と主張。理由として、告発会見直後に拳銃を取り上げられたのは見せしめ行為で、外勤職場にいられなくした▽内示時点で異動先の通信指令室企画係は未設置で同係の業務量は少なく、恣意(しい)的な新設だった―などを挙げている。
これに対し、被告側の県警は「同一課内の配置転換は、地域課長の権限で決定した」と上層部の関与を否定。企画係新設は〇四年末に内定済みで、拳銃を携帯できない原告の勤務場所として前倒し設置は適切だったなどと反論。配置転換に伴って原告の身分、俸給、勤務場所などに法律上の不利益は生じていないとして請求棄却を求めている。
【背景】
原告側は告発に至った「県警の捜査費不正支出問題」が今回の配置転換命令の背景にあると主張。〇四年五月に発覚した大洲署での偽造領収書問題や、元北海道警幹部の証人尋問で「全国の警察組織の中で長年にわたり組織的に敢行されている」との証言を引き出すなどし、裁判所に県警の裏金問題を指弾するよう求めている。
県警側は偽領収書の作成依頼などがあったとする仙波巡査部長の告発内容を「確認できない」としている。
一連の県警の捜査費問題に関する訴訟は、松山地裁に四件(うち大洲署の〇一年度捜査報償費返還住民訴訟は訴え却下、控訴中)が提起されており、今回の国賠訴訟ではどこまで「裏金問題」に踏み込んだ判決が出るかにも注目が集まる。