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国連難民サミット 人道危機打開へ具体策構築急げ 2016年09月22日(木)

 難民問題の解決の糸口が見えない。国連総会が開幕、最重要テーマとして対策を討議するサミットやオバマ米大統領主宰の会合が開かれたが、難民の受け入れや支援の分担などの具体策は見いだせなかった。
 国連難民高等弁務官事務所によると、シリア内戦など紛争や迫害で移住を余儀なくされた人は、昨年末時点で約6530万人。第2次大戦後最多になっている。中東やアフリカから地中海を渡って欧州を目指す難民は後を絶たず、船の遭難などによる死者・行方不明者は今年に入ってからだけでも約3200人に上る。深刻な人道危機をこれ以上放置できない。国際社会は対話を重ね、保護政策と難民を増やさない対策を一刻も早く打ち出さなければならない。
 「これは人類の試練だ」。オバマ米大統領は会合で52カ国の首脳らに行動を促した。参加国は、2016年に国連などに拠出する難民支援資金を前年比で約45億ドル(約4600億円)上積みすると表明。各国の難民受け入れ数を来年までにほぼ倍増の計36万人超とすることで合意した。一歩前進ではあろう。だが具体的な道筋を示しておらず実効性への懸念が拭えない。
 サミットでは、受け入れや支援で各国が責任をより公平に分担するとした「ニューヨーク宣言」を採択したが、法的拘束力はない。各国への一定数の受け入れの義務付けは、大量流入を防ぎたい欧州諸国が反対した。
 その欧州連合(EU)の結束には不安が募る。地中海からの「玄関口」であるイタリアやギリシャでは難民の流入が止まらない。EUとトルコはギリシャへの密航者をトルコに全員送還することで合意したが、トルコの政情不安でそれも進まない。だが、受け入れを公平に分担する政策にはハンガリーなど東欧諸国が反発。テロが相次ぐフランスやドイツでも警戒が強まっている。今月開かれたEU非公式首脳会議は、亀裂を露呈して終わった。EU任せではもはや限界が見えている。
 安倍晋三首相は人道支援へ今後3年間で2850億円の拠出を表明した。難民受け入れには消極的なため、批判をかわす意図も透ける。受け入れには社会保障など困難な課題が山積するが、直視して議論を深める時機を迎えていよう。
 国際社会ではテロを恐れるあまり、排外的な思想が強まっている。だが、難民の多くは子どもたち。犯罪組織の暗躍で強制労働や人身取引が続発、教育を受けられない子も多い。人間の尊厳や平等を守り、未来を開く人材を育てるためにも、子どもたちを保護、支援するシステムの早急な構築を求めたい。
 根本原因を除くにはシリア和平が欠かせない。米国とロシアの仲介によるアサド政権と反体制派の停戦は今、崩壊の危機にある。米ロと関係諸国は互いの思惑を捨て、冷静に辛抱強く和平協議再開へ歩み寄る努力を重ねなければならない。