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高齢化社会の未来 10年後の「安心」確保へ対策急げ 2016年09月21日(水)

 きょうまで、高齢者福祉への関心と理解を深める老人週間。総務省推計では、今月時点の65歳以上人口は3461万人(全体の27.3%)で、女性は初めて3割を超えた。日本が、人類が経験したことのない猛スピードで超高齢化社会に移行しつつあることを改めて実感するとともに、大きく変容する社会の将来に不安が募る。
 人口の多い団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題」まで10年を切った。これまで国を支えてきた世代が給付を受ける側に回るため、社会保障制度の危機や景気低迷、貧困といった問題が一気に噴出しよう。それらはいわば「分かっていたこと」のはずだが、持続可能な社会保障制度改革や格差是正など必要な対策は進んでいない。一刻も早く政治の取り組みを加速させねばなるまい。
 現状は既に厳しい。国民年金受給額は平均月5万円前後で、年金だけでは暮らしが立ちゆかない。今や、生活保護受給世帯全体の過半数、約83万世帯を高齢者世帯が占めているのも、所得再分配機能の弱さの証左でもあろう。生活保護の手前の、自立・就労支援や非正規雇用者の賃金引き上げなど「第2の安全網」の強化が欠かせない。
 安倍政権は「1億総活躍」や「働き方改革」で高齢者の就労促進を目指し、定年引き上げ支援策などで自立を促す方針。15年に職に就いていた高齢者は、730万人と過去最多を更新した。生涯現役といえば聞こえはいいが「安価な労働力の調達」が主目的で「働き続けないと暮らせない」実態の裏返しであれば、手放しでは喜べない。
 介護保険の利用も増え続け、現在の計10兆円が「問題」の25年度には21兆円程度に膨らむとみられる。政府は成長戦略として「介護離職ゼロ」を打ち出し施設増やロボット活用をうたうが、時間がかかる上、担い手の待遇改善や育成が後手に回れば質が担保できない。今進んでいる18年度実施の介護保険制度見直し論議でも、重点化は避けて通れないが、医療・介護・福祉の垣根を越え暮らしを丸ごと支える「地域包括ケア」の充実とセットでなければならない。
 公助が痩せれば共助も重要。だが16年版高齢社会白書の調査では、日本の高齢者は米独などに比べて、友達付き合いが少ない傾向が明らかになった。助け合える親しい友人が「いない」割合は日本が25.9%と最も高く、近所の人と「病気のときに助け合う」割合は最下位の5.9%にとどまった、という。
 1人暮らしの75歳以上は、25年には450万人近くに増える見込み。普段の支え合いはもちろん、身元保証人の引き受け手がいなければ介護施設や病院への入所・入院も難しい。多様なつながりを持ち続けることは安心の基盤で、誰もが年を取る以上、無関心ではいられない。長寿という大きな幸福を心から喜べて、希望を持って人生を全うできる社会を目指したい。