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甘利氏の政治責任 調査報告書の公表が欠かせない 2016年09月18日(日)

 まさか、これが国民に約束した「説明」だと言うつもりではあるまい。甘利明前経済再生担当相が先週、現金授受問題への元秘書2人の関与について「法律違反は認められない」との調査結果を公表した。唐突に開かれた会見は、具体的な事実関係など詳しい内容に触れることなく、わずか10分ほどで終了。一方的に幕引きを図る姿勢は誠実さを欠くと言わざるを得ない。
 会見は用意したメモを読み上げるばかりで、肝心の報告書は示されなかった。調査に当たったとされる元検事の弁護士の名前も伏せたまま。これでは本当に第三者によるものだったのかなど、調査の正当性に疑問符が付く。客観的に検証するため、速やかに報告書を公表し改めて説明を尽くすよう強く求める。
 甘利氏によれば、弁護士は元秘書らから聞き取りなどをした結果、「あっせん利得処罰法に該当する行為に及んでいない」と結論付けたという。ならば、そう判断した根拠を明らかにしなければなるまい。甘利氏と元秘書2人が不起訴処分となり刑事責任が問われなくなったとはいえ、政治責任は免れ得ないと肝に銘じる必要がある。
 閣僚を辞任した1月末の会見で、甘利氏は「調査結果はしかるべきタイミングで公表する」と明言していた。説明責任を果たすという意味だと受け止めていたが、こんな会見でお茶を濁すようでは、「政治とカネ」の問題を軽くみているのではないか、との疑念が拭えない。
 刑事事件になった場合、これまでも「捜査に支障がある」として当事者が説明を拒むケースが散見される。今回、甘利氏の説明が遅れた背景にはそうした思惑もあったろう。弁護士による調査報告書を検察に任意提出しているとも報じられていた。捜査が終結した今、公表できない理由はないはずだ。
 会見での甘利氏の発言は秘書の問題に終始した。体調不良を理由に国会を欠席し続け、先月1日召集の臨時国会に半年ぶりに姿を見せた際には、「私の件は決着した」と笑顔さえ見せていた。認識の甘さを省みてもらいたい。千葉県内の建設会社から自身が受け取ったと認めた計100万円の現金についても、説明責任が果たされていないことを忘れてもらっては困る。
 問われているのは後を絶たない「政治とカネ」への向き合い方だ。第2次安倍政権発足後、閣僚に次々と問題が浮上し、4人が辞任した。いずれも納得できる説明が尽くされたとは言い難い。辞任や内閣改造時の交代で、問題を終わらせようとした政権や与党の対応が、国民の政治不信を深めていることを自覚してもらいたい。
 来週から臨時国会が始まる。野党は甘利氏らの証人喚問を求める方針を固めている。与党も国民の信頼回復という目標に向け、足並みをそろえるべきだ。安倍晋三首相は任命権者として責任を重く受け止め、真相究明を主導しなければならない。