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辺野古訴訟で判決 誠実な協議しか真の解決はない 2016年09月17日(土)

 知事の対応は「違法」―。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る訴訟で、福岡高裁那覇支部は昨日、前知事による辺野古の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の処分を違法と判断。県側敗訴の判決を言い渡した。
 在日米軍専用施設の74%が集中する沖縄に、もうこれ以上基地は要らない。そんな切実な民意を一顧だにせず、「辺野古が唯一の解決策」と一つ覚えに繰り返して問答無用で基地建設を強行しようとする国の姿勢と、それを追認するように「普天間の危険を除去するには辺野古以外にない」と指摘した司法に、強い失望と憤りを禁じ得ない。
 審理自体、弁論2回のスピード結審。「全てが国の意向で決められるようになれば、地方自治は死ぬ」「県民の民意を無視し、過重な基地負担を固定化し続けようとしている」との翁長氏の訴え(第1回口頭弁論)に耳を貸す気配はなかった。
 判決では双方の隔たりは埋まらず、県が上告して司法決着の場は最高裁に移されよう。だがその間も、国は沖縄に多大な犠牲を強いてきた歴史を理解し、誠実に話し合いを重ねなければどこまでいっても平行線。真の解決には決して至らないことを肝に銘じねばなるまい。
 翁長氏が埋め立て承認を取り消したのは、昨年10月。国と県の泥沼の訴訟合戦の末、今年3月に移設工事を中断した上で協議を進める条件で、和解が成立した。国地方係争処理委員会も「真摯(しんし)な協議」を促したが、話し合いは実質ゼロ。国は7月、参院選が終わるや再提訴した。沖縄側は引き続き徹底抗戦の構えで、結局は振り出しに戻っただけというほかはない。
 まずは国が、頑迷な姿勢を改め、普天間と辺野古を切り離して打開策を考えるべきだ。返還の合意から20年放置されてきた「普天間の危険除去」は喫緊の課題だが、「県内から県内」では沖縄の負担軽減には全くならない。撤去や縮小、県外・国外移設など、あらゆる可能性を探るそぶりさえ見せず、自国民たる沖縄県民の意思と人権を無視して抑え込む。そんな暴挙は、およそ政治や民主主義、地方分権の名には値しない。
 国が県を訴え、強硬な本音を隠そうともせず「攻撃」する。そんな信じられない事態が、参院選を境に露骨に進む。米軍専用施設「北部訓練場」の工事強行。沖縄振興予算を基地返還と関連付ける「リンク」論の公言と減額。そして辺野古訴訟…。
 7月の全国知事会で、翁長氏は基地問題を「わがこととして真剣に考えてほしい」と呼び掛けたが、積極的に呼応する意見表明は埼玉や滋賀など少数にとどまった。しかし、全国の地方や国民にとって、決して人ごとではない。安全保障は誰のためにあるのか。日本が初めて、自ら沖縄に恒久的基地を建設することを黙認していいのか。判決を機に、一人一人が考えねばならない。わがこととして。