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沖縄ヘリパッド建設 政府の強硬姿勢は容認できない 2016年09月09日(金)

 政府が、沖縄県の東村と国頭村にまたがる国内最大規模の米軍専用施設「北部訓練場」のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設工事を再開して50日がたった。現場周辺では連日、建設反対派の住民らと機動隊員が衝突。けが人や逮捕者が出ている。工事をいったん中断し、この異常事態を一刻も早く収拾させなければならない。
 ヘリパッドは、人口約150人の高江集落を取り囲むように計画され、民家から最も近いところで約400メートルしか離れていない。米軍は新型輸送機オスプレイを運用すると明らかにしており、騒音や事故の危険性への住民の不安は当然だ。対話することもなく工事を強行する政府の姿勢は到底容認できない。
 日米両政府は今月、オスプレイの訓練を米領グアムなどで拡大させることに合意した。沖縄の基地負担軽減への取り組みをアピールし、普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設の理解を促す狙いがあるとみられるが、そもそも米軍が基地再編計画を進める中で、沖縄にヘリパッドを設置する必要があるのか。政府は見直しを働き掛けるなど、米側と基地縮小策を本気で交渉するべきだ。
 ヘリパッド建設では、警察当局が全国から機動隊員数百人を投入し、座り込みを続ける住民や支援者を強制排除。建設資材を運び込むトラックを阻止しようした住民を数人の隊員が路上に倒して押さえ込むなど、反対派を力ずくでねじ伏せている。
 8月20日には、取材していた地元2紙の記者も排除された。琉球新報によると、記者は隊員に腕をつかまれ移動させられ、隊員の人垣の中に約15分間閉じ込められた。会社の腕章を見せて取材中だと訴えたが、聞き入れられなかったという。沖縄タイムスの記者も同様に拘束された。民主主義の根幹をなす報道の自由を侵害する行為で断じて許されない。
 ヘリパッドの建設は、日米政府が1996年に合意した。訓練場約7800ヘクタールのうち約4千ヘクタールを返還する代わりに、返還区域にある六つのヘリパッドを残る区域に移設する条件。工事は2007年から始まり、2カ所が完成。住民の反対で遅れていた残る4カ所の工事は、今夏の参院選直後に始まった。工事区域にはヤンバルクイナなど希少生物の生息域にもなる豊かな森林が含まれている。
 政府は訓練場の土地返還で、基地負担の軽減になると主張する。だが地元紙によると、米軍は返す土地を「使用不能」と報告書に記しているという。「使えない」土地の代わりに、米軍の都合のよいように政府が新施設を建設すれば、負担軽減どころか、今後長期にわたり新たな負担を県民に押し付けるのは明白。住民の暮らしや自然環境への影響を無視した一方的で強引なやり方は、辺野古移設と同じ構図だ。不誠実でごまかしの策は通じないと肝に銘じ、沖縄の心情に真摯(しんし)に向き合うべきだ。