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もんじゅ存廃議論 原子力行政の転換につなげたい 2016年08月31日(水)

 原子力規制委員会から運営主体変更を勧告された高速増殖炉もんじゅ(福井県)の存廃議論が、大詰めを迎えた。所管する文部科学省が、日本原子力研究開発機構に代わる運営主体を決められない中、官邸レベルで政治決着させる動きが出てきた。
 速やかに廃炉を決断するよう安倍晋三首相に促したい。規制委が指摘したのは、最も重視されるべき安全意識の欠如だ。昨秋の勧告から9カ月が過ぎても実効性ある改善策が示されない以上、見切りをつけるのは政治の当然の責務といえる。もんじゅが中核を担ってきた核燃料サイクル政策を含め、原子力政策の転換につなげる必要がある。
 文科省は有識者検討会で議論を重ねたものの、座長を務めた有馬朗人元文相が「(運営主体は)政治判断に任せる」と発言するなど深入りは避けた。もんじゅは一般の原発とは異なるノウハウが求められる。受け皿探しを丸投げすること自体に無理があったと言わざるを得まい。
 その後、原子力機構からもんじゅの関係部門を切り離して新法人を設立する検討を進めてはいる。実務を担う態勢に大きな差異はない。看板掛け替えによる延命としか映らず、結果的に「官邸案件」への移行を加速させた。当事者能力のなさを露呈した文科省に猛省を促す。
 すでに1兆円超の国費が投じられ、廃炉には30年間で約3千億円かかるとの試算がある。一方、存続には年間200億円の維持費をはじめ安全対策費、燃料工場改造費など総額4千億〜5千億円かかると見込まれることが分かった。追加費用がかさむ可能性もある。それだけの巨費をかけても、実用化できる保証はどこにもないのだ。
 廃炉とともに、政府が固執する核燃サイクル政策の抜本的見直しも求めたい。経済産業省は「もんじゅはサイクルの一部でしかない」と予防線を張る。国のエネルギー基本計画は、運転しながら燃料のプルトニウムを増やす高速増殖炉から、放射性廃棄物の減容などの研究拠点に位置付けし直した。中核ではなくなったとしても、核燃サイクル維持の根拠にはならない。
 核燃サイクルが事実上の破綻状態にあることを直視するべきだ。経産省が期待するのは、使用済み燃料を再処理したプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を一般の原発で使用するプルサーマル。稼働中の原発の中では、四国電力伊方3号機だけで行われている。しかし青森県の再処理工場は稼働のめどが立たず、しかも使用済みMOX燃料は扱えない。問題を先送りしてはなるまい。
 自民党内には、もんじゅを廃炉にすれば「原発推進一辺倒ではない」と国民にアピールできるとの声さえある。安全重視を訴え、再稼働への批判をかわしたい思惑は明らかだ。核燃サイクルの維持が、再稼働の目的になっては本末転倒。もんじゅ存廃議論の高まりを、原発依存から脱却する契機と捉えたい。