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核兵器禁止条約 日本は依存政策見直し賛意示せ 2016年08月26日(金)

 ジュネーブで開かれた国連の核軍縮の作業部会は、核兵器禁止条約について2017年の交渉入りを国連総会に勧告する報告書を賛成多数で採択した。具体的な「年」を盛り込んだ意義は大きく、核兵器廃絶に向けて一歩を踏み出した。
 投票の内訳は、賛成68、反対22、棄権13だった。核保有国は部会に参加せず、日本は棄権に回った。日本政府は、保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任するが、その役割すら果たすことなく、むしろ後ろ向きな印象を国際社会に強く与えた。核兵器の非人道性を最も知る国がとる行動とはいえず、失望を禁じ得ない。
 中米のコスタリカが初めて禁止条約のモデル案を国連に提出してから19年がたつ。核兵器の使用や配備、製造、貯蔵などを禁じる内容だが、理念の域を出ていなかった。今回、報告書が採択されたのは、昨年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の決裂など、保有国が主導する体制下では核軍縮が一向に進まない現状に、いらだちが募ってきた表れといえよう。
 勧告を受け、秋の国連総会ではメキシコなど廃絶推進派が条約制定の交渉開始を求める決議案を出す見通しだ。国連加盟国の過半数の107カ国が交渉入りを支持しているとされ、決議案が採択される可能性は高い。被爆地の広島、長崎が訴え続けてきた核がもたらす悲惨な結末への認識が広がり、勢いを増していることは間違いない。
 ただ作業部会の採決を巡り、国際社会の亀裂が露呈した。当初、部会総意での「円満決着」を目指したが、米国に近いオーストラリアの突然の要求で多数決に変更された。「異論」の存在を殊更にアピールする狙いが見える。米国の核抑止力に依存する日本などは北朝鮮の核開発などを懸念し、段階的削減が現実的との立場をとる。しかし何ら具体的な方策を示してもおらず、逆に核軍縮の潮流にあらがう「抵抗勢力」になり下がっている状況に猛省を求めたい。
 たとえ条約を制定しても、効力が及ぶのは締約国だけで、保有国の参加がなければ実効性を欠いてしまう。それでも非保有国を中心に核兵器を禁止する法的枠組みづくりを先行させるのも一つの考え方だ。「核兵器保有は倫理に反する」との規範をつくることで、保有国への圧力を強め、具体的行動を促す効果が期待できるはずだ。
 「核なき世界」に近づくために重要なのは、両者の対立が深まるのを避け、対話を継続させることであろう。日本は保有国を説得し、議論をけん引することで、唯一の戦争被爆国の責務を果たさねばならない。
 安倍晋三首相は、オバマ米大統領が検討する核の先制不使用政策に対し、核の抑止力の弱体化を理由に懸念を表明したとされる。まずは核廃絶を唱える一方で、核の傘に入る政策の矛盾を解消し、条約制定に賛成する意思を明確に示すべきだ。