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星見草 2016年09月22日(木)

 「愛の家のお母さん」が天に召された。高橋菊さん、104歳。その名にゆかりの、秋の菊の候に▲
 キリスト教の宗教者として子どもを愛し、守ることに生涯をささげた。戦後すぐの1947年、後の児童養護施設「松山信望愛の家」を開所。40年前の本紙記事によると「何よりも先にしなければならないのは戦災孤児を救うこと」と呼び掛け、焼け野原だった松山のバラックでミシンを踏み、資金集めに奔走したという▲
 身寄りのない子、家庭の事情で育てられない子の親代わりを半世紀以上。終戦直後は、施設の金を盗んで親を捜しに行き、見つけられず戻ってきた子を黙って受け入れた。将来を案じて進学を勧め、塾に通わせた卒園生は「先生の導きがなかったら人生の扉は開けなかった」と目を潤ませた▲
 苦労の報われる日々ばかりではなかっただろう。それでも温かく厳しく、背中を押し続けた。今また、子どもの6人に1人が貧困の時代。児童福祉の重要性はいや増している。真っすぐな志と熱意を、社会全体で引き継ぎたい▲
 64年の本紙連載「愛媛の子」に、菊さんはこうつづった。「みんな静かに眠っている。やがて子供たちの顔が水星や金星のようにキラキラと輝きはじめる。昼間光らない星、みんなが忘れてしまいそうな星が今夜は何と美しくまたたくこと。この子らの前途に幸あれ」▲
 「星見草(ほしみぐさ)」とは菊の別名。子らの心の星を見守り続けた人生に、感謝を。

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