写真で残す感動 しまなみ感動美術館を巡る旅
撮影OKの野外“美術館”
しまなみの景色は一瞬たりとも同じ姿を見せてくれない。
四季の移ろい、天候、朝昼夜の時間帯、さまざまな要素が絡まって、空と海の青さや木々の緑も常に変化し、今この瞬間と全く同じ景色は二度と見ることができない。
そして、刻一刻と姿を変えるしまなみの風景が一番魅力的な姿を見せてくれる場所・時間を知っているのは、島を生活の場とする人たち。しまなみの魅力を知り尽くした島人たちが推薦する素晴らしい24の景観ポイントが、しまなみ海道10周年を記念し「しまなみ感動美術館」として紹介された。
「美しい風景や旅の感動を写真で残したい」と、しまなみを訪れる人たちはカメラのシャッターを切る。
手軽なデジタルカメラ全盛の今、あえてアナログで写真を撮ってみようというのが今回のしまなみキラリ。それもピンホール(針穴)カメラという聞き慣れない手法を使う。
ピンホールカメラとは、レンズを使わず、名前の通り針の先で開けたような小さい穴を通して入ってくる像を感光材料(フィルムや印画紙)に焼き付けるシンプルな構造で、レンズのような鮮明な画像ではなく、エッジの柔らかなボケが味のある画像に仕上がるのが特徴。ツアー参加者のほとんどには全くなじみのないこのピンホールカメラを片手に、「しまなみ感動美術館」を巡るツアーが始まった。
まずはカメラを自分たちの手で組み立てる。素材のほとんどが紙で、「本当にこんなモノで撮影できるの?」と不思議に思ってしまう。
いくつものパーツに分かれた部品を並べ、人数分のカメラをまるで組み立てラインさながらに作り上げていく作業はプラモデルを作る過程にも似ているだろうか。
普段こんな作業とは全く縁のなさそうな大人達が、最初はぎこちなく、慣れてくるに従って楽しそうに組み立てていく。「自分で作ったカメラで撮影できるなんて…!早く撮影してみたい」と、作業の間に期待も高まる。
最初の撮影地は大島のカレイ山展望台。
雲一つないと言っていいほどの絶好の撮影日和、どこを見ても鮮やかな色彩にあふれている。
「シャッターはこの部分を引き上げ、下ろすと切れます。明るい場所なら2秒くらいで撮影できますが、その間にカメラが動くとブレるので、固定して撮影するといいですよ」とアドバイスを受け、参加者たちは思い思いに撮影に取りかかった。緑の島影を映し、ところによって白い波を見せながら流れる真っ青な海、夏も終わりかけて少し高くなったように感じる空も、何もかもが美しい。モニターで撮った写真を確認できる訳でもない、撮影枚数のカウンターもない、そんな手づくりのカメラで撮影する新鮮さに夢中になっていた。
「揚がったばかりのエビを茹でてるから!」
天気のいい日に外で食べる食事は美味しさが何倍にも増加すると思う。昼食はほぼ地元食材だけ(煮物のニンジンだけが地元産じゃないため)の手づくりお弁当だ。この日のために地元の方々が心を込めて作ってくれたお弁当、青空の下で心地よい風に吹かれながら食べる食事は豪華な器に盛られた一流料理店のランチよりもふさわしい。お弁当を作ってくれた「NPO法人能島の里を発展させる会」のメンバーの方が「タコ飯の予定だったんですが、今日はタコがあまり捕れなくてエビ飯に変更です。残念ながらタコは天ぷらだけになってしまいました。でも今、さっき揚がったエビとシャコを茹でてますのでもう少ししたら届きますよ」と嬉しいアナウンス。
お弁当だけでもちょっとない豪華さで、何より素材がバツグンにいい。食材の一つ一つがどこでどうやって作られたか、カレイ山展望台からの景色が素晴らしい季節や時間帯、宿泊施設造りの計画についてなど、興味深いお話を聞きながらお弁当に舌鼓を打つ。
茹でたてでまだ湯気の立っている、それこそバケツ一杯のエビとシャコが届いた。大きな笊に山盛りにされ、手早く配られる。こんな贅沢はそうあるものじゃない、これぞまさしく“海からの直行便”だ。「さっきまで泳いでたエビですよ!新鮮だから殻も剥きやすいです、お好きなだけどうぞ」。
地元の人からいただいたあったかいプレゼントに感激、嬉しさに舌も心も踊る。
特にシャコは東予地方ではよく食べられているが、南予地方では食べる習慣がほとんどなく、参加者の中からも「初めて食べたけど、おいしいわ!」と声が上がっていた。小エビのたっぷり入ったエビ飯にタコとお魚の天ぷら、島で育った野菜の煮物、卵焼き…。“この海から揚がった魚なんだなぁ”と目の前に広がる美しい景色を眺めながら、最高の食事タイムを過ごす。
異口同音に思わず上がる感嘆の声
ピンホールカメラでの撮影に慣れるにつれ、面白さにハマっていく。どんな写真が撮れているかわからない、「こうしてみたら上手く撮れるかな」と、工夫しながらいろいろ試してみる。それにしても、しまなみの絶景の多さにはあらためて驚かされる。伯方島の開山展望台からは伯方・大島大橋、大三島橋、多々羅大橋で繋がれたひしめく島々を一望にできる大パノラマが素晴らしい。鶏小島展望台からは手を伸ばせば届きそうな近さに、大きな船がゆっくり進む迫力ある光景が見られる。それぞれに違った表情を見せてくれる海の美しさを捉えようとカメラを向ける。
最後に訪れたのは大島の亀老山展望台。ここは来島海峡大橋が一番美しく見える場所としてよく知られていて、特に夕日の沈む直前15分くらいの短い時間に、思わず息を呑むほどの幻想的な風景が見られるという。次第に傾き始める日差しの中、バスは展望台に向かう山道を登り始めた。もう後わずかで頂上というところまで登ると、南側の視界がいきなり開け、バスの中から「すごい…!」と、一斉に感嘆の声が上がった。来島海峡大橋と、その向こうには今治の街、大小ひしめきながら浮かぶ船、遠く近く重なりあった島影、それらを背景にゆっくりと太陽が夕暮れの赤みを増し始める。一日で一番贅沢なショータイムの幕開けだった。
一日の終わりを締めくくる夕暮れ時の幻想的な風景
※この「しまなみキラリ」の企画はピカラタウンでもご覧いただけます。
ピンホールカメラの問い合わせ先
シャラン
紙製 組み立て式 ピンホールカメラキット、ミノックスフィルム使用のミニカメラで
世界オンリーワン企業。
本社: 321-0219
栃木県下都賀郡壬生町福和田1001-20
電話 0282-82-7283 FAX 0282-82-8642
URL http://sha-ran.co.jp
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NPO法人 能島の里を発展させる会
ホームページ・・・潮流美術館
URL http://www.noshimanosato.org/
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