薫る風を追いかけて
香りを五感で感じる
旅先で、ふと「空気が違う」と感じる。その土地独特のにおい、耳に聞こえる人々の方言や生活音、肌に感じる気温や湿度、目に見える景色…。自分自身を取り巻くあらゆるものを含んだ“雰囲気”が“空気”であり、その違いを全身で感じて自然とそう思うのかもしれない。
今回の「しまなみキラリ!」ツアーの一番目の訪問先は岩城島(越智郡上島町)。「青いレモンの島」と呼ばれるほど、レモンの栽培の盛んな島だ。
岩城島訪問の目的は、地元の“おばちゃん”たちが経営する、民家を改造した「農家レストラン でべそおばちゃんの店」でレモン懐石を体験すること。岩城島特産の新鮮で安全なレモンを主役に、近海で獲れた新鮮な魚や畑直送の野菜をたっぷり使った“レモン懐石”。この体験が普通とちょっと違うのは、単においしくいただくだけでなく、盛りつけをしながら作り方の一部を教えてもらえること。
生口島の洲江港からフェリーに乗り込み、小漕港に渡る。レモンの島と呼ばれるだけあって、岩城港からレストランまでの道程の両側にはどこを見てもレモン畑が広がっている。花の時期は少々過ぎていたけれど、満開のころには島中にレモンの花のさわやかな香りが漂っていることだろう。今は青くて小さなレモンの赤ちゃんが枝の先いっぱいに実をつけている。
「でべそおばちゃんの店」では、“おばちゃん”たちが元気いっぱいに迎えてくれた。ツアー参加者たち総勢40余名、着いたと同時に「はい、これを盛りつけて」「このお皿は魚一匹とタマネギ、ニンジンね」と、“おばちゃん”たちの指導のもとにいきなり体験が始まっていた。一般的なツアーとは勝手の違う進行に参加者たちは一瞬戸惑いを見せた後、すぐに順応し「何でも言って!主婦だから何でも任せて!」との頼もしい言葉。
手を動かしながら「レモンの葉っぱを飾りに使う時には、
裏の葉脈をたたいて香りをだすんよ」とか、
「この三杯酢にはレモン汁がたっぷり入っとるから」と、レモン懐石の秘密を教えてもらう。
「ああ、楽しい!まるで炊き出しみたいね(笑)」と言いながら調理を手伝う参加者たちは、初対面同士なのにチームワークも抜群、あっという間に人数分の支度が整っていた。
食事をいただく前に“でべそおばちゃん”がレモン懐石を面白おかしく説明してくれた。ちなみに“でべそ”とは、土地の言葉で“でしゃばり”という意味だそう。いい意味でのおせっかいができる人のことを言うそうだ。気取らない、むしろ少々乱暴にも聞こえてしまう“でべそおばちゃん”の講釈に、いつしかみんな笑顔を浮かべながら聞き入っていた。「ここに来る人はみんな友達じゃと思っとるけんね。つい何でもずけずけ言ってしまうんよ」。そう言ったおばちゃんの言葉に、誰もがあったかいものを感じていた。
レモンの果実、花、葉、枝を使って、おばちゃんたちが工夫を凝らしたレモン懐石。いつも食べ慣れているものだけど、とびきり新鮮な食材がレモンの果実、花、葉、枝でアレンジされ、ここでしか食べられない“味”になる。五感を使ってレモンの香りを楽しむ…。レモンの香りとともに、忘れられない体験として心に刻まれた。
 |
感動は近くに行けば行くほど大きくなる
お腹いっぱいになった後は、しまなみ海道の特徴の一つ、“歩いて渡ることができる”を実践。愛媛県と広島県をつなぐ世界最大級の斜張橋「多々羅大橋」は、全長約1.5キロ弱、歩いて渡るにはちょうどいい行程だ。折しも晴天、風も心地よく空も海も限りなく青い。車で渡ればほんの数分どころか数十秒、歩いて渡れば導入路を含めて最低30分、あとはその人のペース次第。どちらにしても見えるモノは格段に、増える。太陽はほぼ真上にあり少しばかり日差しがまぶしい時間だけど、素晴らしい景色の中を歩ける期待感に心も弾んで…。青空の下、レモン畑の中を縫うようにして続く導入路を路傍の草花の名前を論じ合ったり、世間話をしながらのんびりと歩いていく。
橋に近づけば近づくほど、その大きさと橋を造り上げた人間の技術に圧倒される。車で走っている時にはこれほどまでに感じなかった橋の巨大さと美しさ、そして橋から見える景色の素晴らしさ。巨大な主塔、ケーブルの太さ、一本一本のネジの大きさ、車窓からは見えなかったものを新しく発見して次々と歓声があがる。左右に浮かぶ小島の一つ一つに目を向け、「あの島はなんて名前?」「さっきの岩城島はあれかな」と、気になるところには足を止めて心ゆくまで眺めてみる。海を渡ってくる風はほんの少し、感じるか感じられないかくらいの湿り気を含み、やさしい潮の香りを伴った風となり肌を優しくなでてくれる…。
途中に「鳴き龍」現象なるものが体験できる場所を発見した。お寺の堂内などで拍子木を打つと天井と床の間で共鳴して音の多重反射が起こることを「鳴き龍」と呼ぶそうだが、橋の建造時には全く予想していなかったその現象が多々羅大橋でも体験できるという。設置されている拍子木を音高く打ち鳴らすと、まるで天に昇るような澄んだ音の反響が聞こえ…。橋を渡る手段を徒歩に変えるだけで、全く違う世界を見ることができる。
甘い香りを満たした花の「杯」
橋を渡った後の心地よい疲労感に身を委ねながら、最後の訪問地である「よしうみバラ公園」(今治市吉海町)へ向かう。世界中のバラ約400種、6500株が植えられた四国最大級のバラ公園は、今が盛りとばかりに花が咲き誇っていた。赤、ピンク、黄色、オレンジ、色鮮やかに開いた花びらから甘い香りが、まるでこぼれ落ちるように辺り一面に広がる。
初めてバラソフトクリームとバラ紅茶をいただいた。満開のバラの花を楽しみながら、その香りを味覚としても味わう、体中に花の香りが満ちていく。姿と香りと味でバラを感じるぜいたく…。参加者たちは思い思いに公園を散策しながら写真を撮ったり、バラの名前を確認したり、ただベンチに座って花の香りを味わったり…。ただ、誰もが「癒やされている」と心から感じる時間を過ごしていたように思う。
時間にせかされることのない、むしろぜいたくなほどのんびりした今回のツアー。行程一つひとつを自分のペースで余すことなく満喫できた旅だった。体の疲れはあるとしても、それ以上に心は癒やされ、帰路につく人々の表情も柔らかくなっていたように思う。
※この「しまなみキラリ」の企画はピカラタウンでもご覧いただけます。
でべそおばちゃんの店HP
http://shimanami.ciao.jp/resutoran-i.html
でべそおばちゃんの店ブログ
http://debeso.blog.ocn.ne.jp/iwagi/
連絡先:TEL (0897)75-2843
FAX (0897)75-2853
注意 ― 完全予約制 -
◆フェリーについて
生口/洲江 ~ 上島町岩城/小漕航路(三光汽船[株])
対象:旅客、車両
■生口島(洲江港)⇒ 上島町岩城(小漕港)
| 因島(洲江港)発 |
| 6時~10時 |
◆6:40 |
◆7:00 |
◆7:20 |
8:15 |
8:45 |
9:15 |
9:45 |
| 10時~14時 |
10:15 |
10:45 |
11:15 |
11:45 |
12:15 |
13:15 |
13:45 |
| 14時~17時 |
14:15 |
14:45 |
15:15 |
15:45 |
16:15 |
16:45 |
|
| 17時~最終 |
17:15 |
17:45 |
18:15 |
18:45 |
19:15 |
◆19:45 |
◆20:10 |
※◆印の便は1月1日は運休
※必要に応じて臨時便を運航。
■上島町岩城(小漕港)⇒ 生口島(洲江港)
| 上島町岩城(小漕港)発 |
| 6時~10時 |
◆6:30 |
◆6:50 |
◆7:10 |
7:30 |
8:00 |
8:30 |
9:00 |
9:30 |
| 10時~14時 |
10:00 |
10:30 |
11:00 |
11:30 |
12:00 |
12:30 |
13:30 |
|
| 14時~17時 |
14:00 |
14:30 |
15:00 |
15:30 |
16:00 |
16:30 |
|
|
| 17時~最終 |
17:00 |
17:30 |
18:00 |
18:30 |
19:00 |
◆19:30 |
◆20:00 |
|
※◆印の便は1月1日は運休
※必要に応じて臨時便を運航。
■料金表(旅客)
| |
料金(片道) |
料金(往復) |
| 大人 |
145 |
280 |
| 小人 |
70 |
140 |
| 自転車(大人) |
285 |
560 |
| 自転車(小人) |
210 |
420 |
| 原付自転車 |
425 |
820 |
| 自動二輪(750cc未満) |
575 |
1140 |
| 自動二輪(750cc以上) |
715 |
1,420 |
■料金表(車両)
| 区分 |
料金(片道) |
料金(往復) |
| 3m未満 |
820 |
1,540 |
| 3m~4m未満 |
970 |
1,850 |
| 4m~5m未満 |
1,240 |
2,360 |
| 5m~6m未満 |
1,430 |
2,720 |
| 6m~7m未満 |
1,690 |
3,220 |
| 7m~8m未満 |
1,970 |
3,750 |
| 8m~9m未満 |
2,150 |
4,090 |
| 9m~10m未満 |
2,400 |
4,560 |
| 10m~11m未満 |
2,580 |
4,910 |
| 11m~12m未満 |
2,750 |
5,230 |
■問い合わせ先・・・三光汽船(株)
TEL:08452-8-0035
吉海バラ公園、ローズ館
今治市吉海町福田1290
TEL:0897-84-2970
【問い合わせ先】
愛媛新聞社 広告局広告部
〒790-8511 愛媛県松山市大手町1丁目12-1
TEL:089-935-2313 FAX:089-941-8111